実績

■季節の写真 (過去の写真はこちら写真(c)木原浩

冬菊のまとふはおのがひかりのみ 水原秋桜子


  写真家の木原浩さんに寒菊の写真をご提供頂きました。

私は花を買う習慣がないので,菊を見るのは仏前かお刺身を買ったときくらいです。考えてみると,お刺身に添えられる菊には何か意味があるのでしょうか。菊を食べている人はあまり見かけがないし(私はたまに食べます。),単に見栄えの問題で? そこで,ちょっと調べてみました。まず,昔は冷凍技術がなかったので,明治になるまで刺身を食べられるのは江戸など海辺の街だけで,全国で日常的に刺身を食べられるようになったのは冷凍技術が発達した昭和以降のようです。刺身用の菊は小菊といって,刺身用に品種改良され戦後に生産が始まっていますから,小菊を刺身に添える習慣ができたのは戦後ということになります。小菊の役目は彩り,薬味及び殺菌作用という建前ですが,衛生の問題がほぼなくなった現在では彩りとしての意味しかないようです。たまにプラスチックの小菊が添えられていますが,これは小菊の本質を端的に示しています。(平成26年12月,神戸)