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■季節の写真 (過去の写真はこちら写真(c)木原浩

山川に風のかけたるしがらみは 流れもあえぬもみじなりけり 春道列樹(はるみち つらき) 小倉百人一首


写真家の木原浩先生に落ち葉の写真をご提供頂きました。


落ち葉といえば,落ち葉焚きを思い付ましたが,私が住んでいる品川区で落ち葉焚きをしている人を見たことがありません。いなかの群馬では,おじいさんがしょっちゅうドラム缶で野焼きをしていましたが,都会と山奥とで法規制が違うのかと疑問に思い調べてみました。

まず,適用される法律は,廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)です。同法2条1項は,廃棄物を次のとおり定義しています。

ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

そして,同法16条の2は,次のように定めています。

何人も,次に掲げる方法による場合を除き,廃棄物を焼却してはならない。

一 一般廃棄物処理基準,特別管理一般廃棄物処理基準,産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従つて行う廃棄物の焼却

二 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却

三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの

以上の規定によれば,落ち葉は,廃棄物に当たり,落ち葉焚きは,廃棄物の焼却に当たるので,原則として禁止されますが,1~3号の例外規定に当たる場合は許されることになります。

1号・2号は,落ち葉焚きでは問題にならないので,3号の「社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却」又は「周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却」に当たるか否かが問題となります。

群馬のいなかは農家がほとんどなのですが,どの家でも野焼きをしていますし,隣家とはそれなりに距離がありますので,これは,「社会の慣習上やむを得ない廃棄物の処理」にも「周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却」にも当たるものと考えられます。

他方で,品川区の場合には,農家はなく,住宅や店舗・事務所が密集していて,隣家との距離もさほどないので,「周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却」とは言えません。また,品川区の一般住宅で野焼きを行うことが「社会の慣習上やむを得ない」とは言えません。また,品川区の一般住宅で野焼きを行うことが「社会の慣習上やむを得ない」とは言いにくいので,品川区での野焼きは例外規定に当たらず,禁止されると考えることができます。なお,寺などで行うお焚き上げや,子供会などで行う焼き芋会などは,周辺住民が違和感を持たず,許容しているという意味で,「社会の慣習上やむを得ない廃棄物の処理」として例外的に許されるものと思います。

(2020年2月 神戸)